著作紹介


 単著書

身をもって知る技法――マダガスカルの漁師に学ぶ
身をもって知る技法――マダガスカルの漁師に学ぶ(フィールドワーク選書8)

(臨川書店 2014年)

フィールドワークの真髄は、身をもって他者を知ること。ときには主観的になったり、自分が変わってしまったりするかもしれない。しかし、おそれてはならない。フィールドワークはおもしろい。マダガスカルの経験をもとに書きました。




海を生きる技術と知識の民族誌――マダガスカル漁撈社会の生態人類学
海を生きる技術と知識の民族誌――マダガスカル漁撈社会の生態人類学

(世界思想社 2008年)

博士学位論文を書きなおして出版した本。マダガスカルに行きはじめた頃の経験がもとになっています。生態人類学の視点から、漁法と漁家経済、資源管理に焦点を当てました。現在の研究からみると対象範囲が狭いかもしれませんが、「見て考える」という原点を示しています。



 共著書

  名瀬のまち いまむかし――絵地図から地籍図まで
名瀬のまち いまむかし――絵地図から地籍図まで

(南方新社 2012年)

弓削政己さん、岩多雅朗さん、中山清美さんとの共著。奄美大島の研究者とのコラボという意味で、思いで深い一書です。人類学や民俗学よりも地理学に近い内容で、地域を記録することの大切さを学びました。総合地球環境学研究所のプロジェクト「東アジア内海の新石器化と現代化――景観の形成史」(2006~2011年度)の成果です。



 単編著

  Heritage Practices in Africa
Heritage Practices in Africa (Senri Etnnological Studies 109)

(国立民族学博物館 2022年)

アフリカ地域では、文書記録から独立してうけ継がれた文化が豊かに残されています。われわれは歴史の尺度で文化を評価しがちですが、アフリカ文化はそれを拒絶します。アフリカを深く知るために、われわれは見かたを変える必要があるのではないでしょうか。国立民族学博物館の機関研究「文化遺産の人類学」(2013~2015年度)と、科研費補助金(基盤B)「文化遺産の「社会的ふるまい」に関する応用人類学的研究」(2019~2021年度)の成果です。


  財団法人日本民族学協会附属民族学博物館(保谷民博)関係人名の研究
財団法人日本民族学協会附属民族学博物館(保谷民博)関係人名の研究
(国立民族学博物館フォーラム型情報ミュージアム資料集1)

(国立民族学博物館 2019年)

下に掲載した保谷民博の『旧蔵資料の研究』の続編。わたしの職場にある民族誌標本がどのようなものかを知るには、誰が集めたかを知るのがもっとも手っ取り早いのですが、これまでそれを体系的に知る材料がありませんでした。本書は、簡易な人名事典ではありますが、民族学史のみならず経済学史や実業史に関わる昭和期の記録になっています。国立民族学博物館のフォーラム型情報ミュージアムプロジェクト「日本民族学会附属民族学博物館(保谷民博)資料の履歴に関する研究と成果公開」(2016~2017年度)の成果です。


  文化遺産と生きる
文化遺産と生きる

(臨川書店 2017年)

ユネスコが所掌する各種の文化遺産や、文化庁が所掌する各種の文化財は、人びとのくらしと無関係なものでしょうか。この問いは、「文化遺産とはなにか」という問いとも関わりつつ、日増しに重いものになってきています。文化遺産とくらしとの関係を築きなおすためにお勧めする書。国立民族学博物館の機関研究「文化遺産の人類学――グローバル・システムにおけるコミュニティとマテリアリティ」(2013~2015年度)の成果です。



  文明史のなかの文化遺産
文明史のなかの文化遺産

(臨川書店 2017年)

人びとのくらしから文化遺産を捉えなおすためには、そもそもユネスコや文化庁のお墨付きを得た文化遺産だけを見ていても意味がない。むしろ、人びとのアイデンティティや愛着との関わりから文化遺産をとらえ、現代においてどのような動きがあるかに目を向けることが重要。国立民族学博物館の機関研究「文化遺産の人類学――グローバル・システムにおけるコミュニティとマテリアリティ」(2013~2015年度)の成果です。



  マダガスカル地域文化の動態(国立民族学博物館調査報告103)
マダガスカル地域文化の動態(国立民族学博物館調査報告103)

(国立民族学博物館 2012年)

1994年以来通い続けているマダガスカルは、あらゆる分野の研究者の興味を惹きつけてやまない。とりわけ人文・社会科学分野におけるトピックを広く網羅した研究書。国立民族学博物館の共同研究「マダガスカルの文化多様性に関する研究」(2006~2009年度)の成果です。



 共編著

  財団法人日本民族学協会附属民族学博物館(保谷民博)旧蔵資料の研究(国立民族学博物館調査報告139)
財団法人日本民族学協会附属民族学博物館(保谷民博)旧蔵資料の研究
(国立民族学博物館調査報告139)

(国立民族学博物館 2017年)

朝倉敏夫さんとの共編。渋沢敬三が主宰したアチックミューゼアムの活動を研究していた故 近藤雅樹教授の遺志をひき継ぎ、彼の到達点をお弟子さんたちとともに形にした本。国立民族学博物館の文化資源プロジェクト「アチックミューゼアム旧蔵資料の体系的整理と資源化」(2015年度)ならびにフォーラム型情報ミュージアムプロジェクト「日本民族学会附属民族学博物館(保谷民博)資料の履歴に関する研究と成果公開」(2016~2017年度)など、一連のプロジェクトの成果です。



  マダガスカルを知るための62章
マダガスカルを知るための62章

(明石書店 2013年)

深澤秀夫さん、森山工さんとの共編。上記『マダガスカル地域文化の動態』をふまえつつ網羅する分野を大幅に広げ、なおかつ、多数の専門家が平易な表現で著した一般向け書籍。マダガスカルとガラパゴス、混同していませんか? どこから読んでも、マダガスカルの魅力が満載です。



  電子メディアを飼いならす――異文化を橋渡すフィールド研究の視座
電子メディアを飼いならす――異文化を橋渡すフィールド研究の視座

(せりか書房 2005年)

原知章さんとの共編。マダガスカルから来たテレビ取材班のドキュメンタリー番組の表現があまりに「自由」で現実からも乖離していることに疑問を感じ、研究者仲間に呼びかけて作った本。電子メディアを批判する意見も肯定する意見もふまえて、けっきょくは民族誌も電子メディアと同じような不透明性を帯びざるをえないことを自覚しました。生態人類学から脱皮するきっかけにもなりました。国立民族学博物館の新領域開拓研究プロジェクト「多重メディア環境と民族誌」(2002~2003年度)の成果です。



 その他

  霧の森の叡智――マダガスカル、無形文化遺産のものづくり
霧の森の叡智――マダガスカル、無形文化遺産のものづくり

(国立民族学博物館 2013年)

国立民族学博物館の編になる本で、わたしは責任編集。国立民族学博物館の特別展「マダガスカル 霧の森のくらし」(2013年)の図録ですが、第一線の研究者による無形文化遺産の解説書という側面も持っています。わたしの文化遺産研究はここから始まりました。