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関雄二アンデス考古学研究室


私のおいたち

関 雄二

■小学生時代■■■■■■■

板橋区立北前野小学校に通っていました。低学年の頃は、その頃の子供ならば誰もがそうであったように、昆虫採集が好きでした。ファーブル昆虫記にも影響され、昆虫学者になりたいとさえ思っていました。でも担任の先生に「どんな虫を知っていますか?」と授業中に質問されると、「アオバアリガタハネカクシ」などと答える実にかわいげのない子供でした。それが、いつの頃か、突然虫がかわいそうになり、昆虫採集を止めます。高学年になって興味を持ったのが天体観測でした。当時通っていた進学教室の帰りには渋谷にある五島プラネタリウムに立ち寄り、いつか天文学者になりたいと思うようになっていました。今でもプラネタリウムのパンフレットを持っています。プラネタリウムとともに頻繁に通ったのが上野の国立博物館でした。それも常設展を見学するのが好きで、これが後の歴史への関心へとつながっていくきっかけとなったようです。


■中学生時代■■■■■■■

兄や親戚が通っていたこともあり、私立開成中学に入学。お受験のはしりでしたが、実際には見学した運動会の勇壮さに惚れ込んで決めました。部活は兄もやっていたフェンシングを選びました。ところが、2年生の時に大好きな運動会の練習で右膝半月板損傷、1月半の入院と長期のリハビリを強いられ、運動はもとより勉学も一時断念というか自己放棄状態。落第寸前まで行きますが、これを救ったのが、好きだった日本の歴史でした。当時金曜日の夜10時45分に放映されていた「真珠の小箱」(近鉄提供)という番組を欠かさず見て日本の古代史への興味を高めるとともに、大阪に単身で赴任していた父のアパートを根城に、京都や奈良、明日香を一人で歩き回ったことが、精神的な安定につながったようです。薬師寺の金堂再建のための寄進活動にも参加し、般若心経の写経は、今でも金堂の屋根裏にあるはずです。


■高校生時代■■■■■■■

中高一貫教育だったので、受験はなく、のんびりとしていました。膝の故障も完治し、部活に情熱を注ぐようになりました。高2で引退するのが普通だった部活も3年まで続け、東京都大会や関東大会で好成績を残すことができ、夏には、私たちにとっての甲子園である全国高校総合体育大会に出場、全国ベスト8まで進みました。今でも、最後の試合でのミスを思い出します(あのとき、なんでメンバーの順序を変えてしまったのか)。厳しい練習に明け暮れながらも、日本の歴史、とくに古代史に対する関心は高まり、この分野だけは、誰にも負けないというほど勉強した記憶があります。


■大学時代■■■■■■■■

東京大学文科3類に入学。ここで万葉集の権威である稲岡耕二先生に出会います。先生が主宰する民俗学者折口信夫のゼミに出席し、古代へのアプローチの仕方としての民俗学の存在を知り、進学先を文化人類学科に決めました。こちらでは、大林太良先生に教えを請い、比較神話学に興味を持ち、日本神話とモンゴルの英雄叙事詩との比較を卒論に選びました。とはいえ、さほど勉強熱心だったわけではありません。体育会系でしたから、就職もできたとは思うのですが、なんとなく先が見えてしまい、「ならば一番きらいなものを選ぼう」と決心し、学問を選びました。東京大学大学院に入るとすぐ(入試の点数はひどかったと後で聞かされました)、恩師寺田和夫先生から、「アンデスに考古学調査隊を派遣する。何の義務もないから遊びに来ないか」と誘われました。頭には、雪山とそれを滑り降りる自分の姿が思い浮かび、海外旅行もまだ本格化していなかったこともあって、すぐさま承諾の返事をした覚えがあります。いわれたままに、好き勝手に過ごし、毎晩のように村の女の子達と踊っていたものですから、しかられてばかり。それでもアンデスの人と自然、そして遺跡の魅力に取り憑かれてしまいました。


■研究者時代■■■■■■■

二度目のアンデス調査から帰国すると、青天の霹靂で、東大文化人類学教室の助手に採用されました。以来、東大のアンデス調査団に加わって発掘調査活動を続けています。1986年には、東京大学の総合研究資料館(現総合研究博物館)の助手に配置転換され、同僚であった赤澤威先生(現高知工科大学教授)の指導の下、デジタル・ミュージアム化や博物館への改組等に取り組みました。その後、改革に疲れ、大好きだった奈良に本拠を移し、天理大学国際文化学部に勤務するようになりました。何度も通った山辺の道を毎日見ることになろうとは思いもしませんでした。1999年に民博に転任しました。現在の趣味は、ガーデニングと読書。近所にある奈良の山で緑に囲まれながらページをめくるのを楽しみにしています。

会報『チャスキ』表紙また東京で活動していた際に知り合った在野のいわゆる「アンデス大好き人間」の集団に押されて、アンデス文明研究会なるサークルの顧問をしています。今年で18年目に入ります。ラテンアメリカに係わることなら何でも行事に取り込む非常に活動的な集団ですが、月に1回の割合で開催されている講義が活動のメインとなっています。私がこのプログラムを考えるのですが、大学や研究所の先生方に依頼し、毎年興味深いコースを開いています。手前味噌になりますが、そんじょそこらのカルチャーセンターとは比べものにならないほど充実した講師陣とレベルの高い講義内容が売り物です。
(アンデス文明研究会 URL https://andesken.exblog.jp/)

会報『チャスキ』は市販されています。

(最終更新日 2019年1月21日)