大規模災害の被災地では、遺構や遺物の保存・公開、モニュメントの建立、被災体験の語り継ぎなど、被災経験を後世に継承していこうとの活動が生まれる。他方、こうした活動は被災の苦悩や悲痛さを喚起するものとして、反対もしくは距離を置く人々も存在する。本研究は、大規模災害の集合的記憶を、モノを介して保存・伝承(物象化)したり言葉により語り継いでいく(物語化)活動をプロセスとして、それぞれの地域社会の動態の中で捉える。 各被災地において、遺構やモニュメント、語り継ぎ活動が地域づくりや防災・減災にどう活かされているかを明らかにしていくことが目的である。