キーワード
コーヒー文化、食文化、グローバル文化、嗜好品、もてなし文化
目的
16世紀のアラブ世界で社会的・文化的役割を担うものとして発見されたコーヒーが、単なる嗜好品としてではなく、地域文化を背景としながらもグローバルに展開していく過程に焦点を当て、生産者と消費者のあいだをつなぐグローバルチェーンの出現と展開として歴史的に再検討し、近現代におけるグローバル文化としてのコーヒー文化について考察する。特にコーヒー生産における環境負荷の問題やグローバルな経済システムの問題、個人消費と嗜好の問題、地域社会における文化資源の問題は、従来のコーヒー文化研究のなかでは別々のフェーズの問題として議論されてきた傾向が強いと言えるが、コーヒーをめぐる問題の多面性・多重性・多層性を、人間が個として自然との相互作用の場で創出する空間、自然資源と文化資源が接続し関与する生活空間、その外縁にある地域性や文明的価値が関与する社会空間、さらにその外縁にある地球社会の認知地図としてのグローバル地域空間の中で捉えなおすことで、グローバル現象に関する新たな分析方法を開拓することができる(図参照)。
参加メンバー
西尾哲夫 | 国立民族学博物館 | グローバル地中海地域研究国立民族学博物館拠点 |
黒田賢治 | 国立民族学博物館 | グローバル地中海地域研究国立民族学博物館拠点 |
岡本尚子 | 国立民族学博物館 | グローバル地中海地域研究国立民族学博物館拠点 |
鈴木英明 | 国立民族学博物館 | 環インド洋地域研究国立民族学博物館拠点 |
門馬一平 | 国立民族学博物館 | 海域アジア・オセアニア研究国立民族学博物館拠点 |
齋藤剛 | 神戸大学 | 東ユーラシア研究神戸大学拠点 |
研究協力者
栄秀文 | UCCコーヒー博物館・館長 |
香月麻里 | 元UCCコーヒーアカデミー・係長 元UCCコーヒー博物館・学芸員 |
オブザーバー
上島達司 | UCCジャパン株式会社・代表取締役会長 |
研究活動
2023年度実施事項
- アカデミー藝術サロン:カフェ・アラビア(2023.11.12)
研究会開催⇒2023年11月12日UCCコーヒーアカデミー 藝術サロン2023、西尾哲夫「アラブ世界のコーヒーの起源~アルジャズィーリー(16世紀)による世界最初のコーヒーの書をめぐって」、岡本尚子・岡本祥子(ピアニスト)「コーヒーやアラブ文化に着想を得たヨーロッパの音楽の曲目解説」、於・UCCコーヒーアカデミー神戸)、UCCコーヒーアカデミー神戸共催 - 国際ワークショップ「東アジアにおけるコーヒー文化の動向」(2024.01.26)
国際ワークショップ「東アジアにおけるコーヒー文化の動向」(日時:令和6年1月26日(金)13:00~18:00、会場:UCCコーヒー博物館、主催:人間文化研究機構・グローバル地域研究プログラム・特別研究班「グローバル文化としてのコーヒーの歴史的・地域的展開に関する研究」、協力:UCCコーヒー博物館)
成果報告:中国より招聘した櫻井想(紅河学院民族研究院講師)による研究発表「滇越鉄路沿線都市におけるコーヒーの消費文化についての一考察: 1930年代の昆明と蒙自のカフェを事例として」をきくととともに、そのコメント発表として、吉田和史(北九州市立大学文学部)による「台湾における現地調査から」と、縄田浩志(秋田大学・大学院国際資源学研究科教授)による「タイにおける現地調査から」を聞いた。これによって東アジアにおける研究動向や現地の状況に関する最新の情報を得ることができた。発表後は、UCCコーヒー博物館の見学をおこなった。これによって世界じゅうのコーヒー文化の歴史について知見をひろめることができた。 - 日本におけるコーヒー文化調査
- 青森県弘前市での調査(黒田賢治、2024年2月):弘前藩時代から明治初期にかけてコーヒー文化が同地に入ってきた時に、滋養強壮剤として使用された状況ならびに利用法について、コーヒー文化保存団体の協力を得て文献調査ならびに聞き取り調査をおこなった。
- 沖縄におけるコーヒー栽培の現状について現地調査をおこなった。沖縄における栽培の歴史は古くなくこの10年から20年のあいだだが、県の振興策がある中で、コーヒー栽培農家が徐々に増えつつある。ただ沖縄内で消費するにもまだじゅうぶんな量が生産されておらず、多くの農園は観光農園として多角的経営をおこなっている。(⇒科研費での調査)