科学研究費補助金基盤研究(A) 課題番号20H00050 (2020~2023年度)

社会的記憶の観点からみたアンデス文明史の再構築 

2022年度 

【現地調査】

コロナ禍で中断していた日本人研究者による現地調査を3年ぶりに再開し、7月下旬より一ヶ月半ほどペルー北高地カハマルカ州チョタ郡ケロコト郡に位置するラ・カピーヤ遺跡で発掘調査を実施した。2021年度に発見した防御用の溝構造が等高線に沿って延びることを確認し、インカ直前(後1300~1500年頃)の社会のコンフリクト状況が明らかになった。この調査の過程で、形成期中期(前1000年~前700年)にさかのぼる基壇と部屋が検出され、層位的にはそれより古い墓も発見された。
この墓は、深さ約1.5mで、上部には大量の礫が詰め込まれ、その下には1トン以上の大石が置かれていた。大石の下からは、エクアドル産の巻き貝であるストロンブスが20点見つかり、その上に成人男性の遺体が安置されていた。ストロンブス貝および遺体には、貝や青緑色の石製の装飾品が捧げられていた。これまでに形成期中期にさかのぼる貴人墓は発見されておらず、権力者の誕生時期が大幅にさかのぼる可能性が高い。この発見は、国内外で報道されたほか、英国の雑誌World Archaeology Magazine誌において8ページにおよぶ異例の特集記事が掲載され、世界的にも注目された。さらにエクアドルで開催された国際会議の基調講演でもこの発見を紹介した。

【研究集会】

2023.2.13. 10:00~15:00   2022年度共同研究会 オンラインで開催  ⇒プログラムpdf[76KB]

2021年度 

【現地調査】

コロナ禍で日本人研究者によるペルーでの調査は断念したが、11月より一ヶ月ほどペルー北高地カハマルカ州チョタ郡ケロコト郡に位置するラ・カピーヤ遺跡の発掘調査を海外共同研究者によって実施した。具体的には防御用の溝構造が複数検出され、インカ直前(後1300~1500年頃)の社会のコンフリクト状況を示すデータが得られた。この場合、防御される区域の狭さから、祭祀空間の防御であった可能性が高い。ラ・カピーヤ遺跡では、形成期(前1000年~前700年)にさかのぼる祭祀遺構が検出されていることから、今後は、聖なる空間としての継続的利用がどのような仕組みで可能となったのかを追究していきたい。

【研究集会】

2021.12.18. 11:00~12:30   2021年度共同研究会 オンラインで開催  ⇒プログラムpdf[140KB]

 

2020年度 

【現地調査】

本年度は、コロナ禍でペルーでの調査は断念した。

  
【研究集会】
 

2020.12.27. 9:00~11:00   2020年度第2回研究会  オンラインで開催  ⇒プログラムpdf[74KB]

2020.8.28. 13:30~17:00   2020年度第1回研究会  オンラインで開催  ⇒プログラムpdf[127KB]