科学研究費補助金基盤研究(A) 課題番号20H00050 (2020~2023年度)

社会的記憶の観点からみたアンデス文明史の再構築 

長岡朋人准教授 第17回(令和2(2020)年度)「日本学術振興会賞」受賞

 

令和2年12月17日、当プロジェクト研究協力者の長岡朋人(ながおかともひと)聖マリアンナ医科大学准教授が、第17回(令和2(2020)年度)日本学術振興会賞を受賞しました。
○ 受賞理由
「生物考古学によるアンデス文明形成期におけるライフヒストリーと階層化社会の解明」(Elucidation of Life History and Hierarchical Society during the Formative Period in the Andean Civilization by Bioarchaeology)
古代社会の理解には文理融合型の総合人類学的アプローチが重視される。中でもヒトの骨格形態に関する形態人類学は極めて重要である。長岡朋人氏は江戸時代や鎌倉時代の人骨の生物考古学的研究に始まり、南米古代アンデス文明形成期のライフヒストリー復元研究まで、形態人類学をベースに多大な貢献をしてきた。アンデス文明形成期は、他と異なる複雑な社会を作っていたと推定されてきたが、その科学的実証は遅れていた。長岡氏はペルー・パコパンパ祭祀遺跡の発掘調査に対し、生物考古学の視点から、祭祀階層社会を裏打ちする人々のライフヒストリー、また儀式と関連した暴力的行為の証拠を、アンデス考古学史上初めて提示した。さらに、ルール化された人身供犠の証拠を提示し、農耕への移行以前の社会にも階層化・儀式化された複雑な社会が存在することを初めて示した。長岡氏はこうした諸研究に加え、文理融合プロジェクトを実践しており、今後、当該研究領域の発展に更に大きく貢献することが期待される。
受賞年月日:令和2年12月17日
⇒日本学術振興会のプレスリリース資料PDF[408KB]