科学研究費補助金基盤研究(A)海外「アンデス文明における権力生成と社会的記憶の構築」(課題番16H02729)


活動 →2016 / 2017 / 2018 / 2019

2019年度

【研究集会】
Simposio conmemorativo por los 120 años de la inmigración japonesa / Año de la amistad Peruano Japonesa y los 40 años de investigación de la Misión Arqueológica Japonesa en Cajamarca, “Entre el pasado y presente: Estudios y protección del patrimonio cultural en la costa y sierra norte del Perú.”
日時:2019年9月6日
会場:カンポ・サント、ペルー文化省カハマルカ支局
主催:文化省カハマルカ支局、日本考古学調査団、国立民族学博物館、在ペルー日本大使館、日本国文化庁
共催:文化遺産国際協力コンソーシアム
協力:古代アメリカ学会
→プログラム[976KB]

Simposio por el Año de Amistad entre Japón y Perú
“Protección del Patrimonio Cultural peruano en el nuevo milenio: Perspectivas y experiencias de investigadores de Perú y Japón”
日時:2019年8月13日
会場:ペルー文化省チャンカイホール
主催:国立民族学博物館・文化庁・在ペルー日本大使館・ペルー文化省
共催:文化遺産国際協力コンソーシアム
協力:古代アメリカ学会
→プログラム[242KB]

2018年度

【研究集会】
国際シンポジウム:Nuevas Perspectivas a la Formación de Civilización Temprana en Los Andes: Cronología, Interacción, y Organización Social/アンデス文明形成過程をめぐる新たな視角:編年、交流、社会組織
日時:2019年3月21日(木・祝)
会場:国立民族学博物館第6セミナー室
→チラシ・プログラム[451KB]

研究会
日時:2019年2月24日(日)・25日(月)
会場:東亜大学
→プログラムpdf[66KB]

2017年度

【研究集会】
研究会
日時:2018年3月16日(金)・17日(土)
会場:国立民族学博物館 第6セミナー室
→プログラムpdf[72KB]
研究会風景

国際フォーラム Monumentalidad y Poder en los Andes
(国立民族学博物館・山形大学学術協定締結記念)
日時:2018年2月19日(月)14:00~18:00
会場:国立民族学博物館 第4セミナー室
→チラシ・プログラムpdf[209KB]
フォーラム参加者フォーラム風景

【現地調査】
ペルー北高地に位置するパコパンパ遺跡において発掘および、出土遺物の分析を行った。発掘については住居遺構の検出をめざした。神殿活動を支えた集団の特定が目的である。具体的には、パコパンパ遺跡の東部に位置し、表面観察からは遺構が目視できない平坦部を選んだ。その結果、住居址というよりも、広場のような開放空間として利用されたことが判明した。当初の推測とは異なる結果ではあったが、逆に、祭祀活動が空間的に連続していることが明らかになった点は大きな収穫といえる。

遺物分析については、遺跡周辺部の土器分析を行い、その結果、社会的なリーダーが出現した点が検証されている形成期後期(前800年~前500年)に祭祀活動の範囲が縮減していることを突き止めた。権力の生成が祭祀空間の拡大とは比例していないことになる。
出土動物骨については、炭素、窒素、ストロンチウムの同位体分析により、形成期後期に遺跡周辺でラクダ科動物を飼育し、饗宴において消費された点が明らかになった。さらに人骨資料については、儀礼的な暴力行為のパターンがある点をつきとめた。この成果は米国の電子ジャーナルに掲載され、アンデス文明史上、もっとも古くまた確実な事例として国内外の学界で注目された。社会的記憶が生成される機会として注目してきた儀礼という反復的行為の中に、暴力が組み込まれていた点が明らかになった点は重要である。なお人骨のDNA分析については、DNAの残存状態を図る予備的な分析を行い、良好な保存状態にあることがわかった。
これらの成果は、日本をはじめ米国、セルビア、ペルー、アルゼンチンにおける国際学会や集会において発表するとともに、内外の研究誌に投稿し、受理されている。


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2016年度

【研究集会】
研究会
日時:2017年3月17日(金)・18日(土)
会場:国立民族学博物館 第6セミナー室
→プログラムpdf[79KB]
20170317研究会

【現地調査】
ペルー北高地に位置するパコパンパ遺跡において発掘および、出土遺物の分析を行った。これまで着手してこなかった南側の基壇を発掘し、形成期中期後葉(前1000年~前800年)の遺構を検出した。また続く形成期後期前葉(前800年~前500年)でも建築の配置は踏襲されていたところから、儀礼空間における社会的記憶の生成方法の継承が指摘できた。

遺物分析については、2015年の調査で発見された貴人墓(通称ヘビ・ジャガー神官の墓)の被葬者について、自然人類学的分析などを実施した。その結果、被葬者のうち1体で、足の骨の遊離が認められ、切断痕は同定できなかったものの、もう1体の被葬者を守る目的を持つ犠牲者であった可能性が指摘され、墓の特殊性がうかがわれた。
さらに貴人墓に隣接した方形パティオにおいて発見された饗宴の痕についても、土器や骨器、獣骨、人骨などの分析を行った。そこでは同じような儀礼が反復的に3回行われたことは判明していたが、共伴する土器が時間とともに変化することがわかり、しかも共食以外の儀礼的要素も析出された。層位的には饗宴は、貴人墓と関係していることが以前から指摘されており、その意味で、貴人墓の被葬者の追悼的性格が予想されたのだが、儀礼自体が微妙に変化していった点が明らかにされたことになる。これは反復性に基づく社会的記憶自体にも動的考察が必要であることを示すものである。

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