採択されたプロジェクト

採択プロジェクト  2021年度  | 2020年度  | 2019年度  | 2018年度  | 2017年度  | 2016年度

◆ 2021年度採択プロジェクト〔第2次採択分〕

以下、ID番号前のABCは支援カテゴリーを示す。カテゴリーの詳細はこちら

ID:MDL2021C02
申請者:岡崎 瑠美(芝浦工業大学・建築学部建築学科・准教授)
研究種目:国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
課題名:アフリカ型都市建築保存手法の開発 都市における互助的ネットワークを使った試み
研究期間:2019年度~2023年度

本プロジェクトの支援内容:
建築学者 岡崎瑠美が2004年から2020年にかけてエチオピア各地で撮影したデジタル写真5033点をデータベース化した。研究チーム内で資料を共有することで、出版や写真展などの準備作業を効率化することが期待できる。このように、本格的な成果公開にむけての準備を、新型コロナウィルス感染症流行期間中に進めることができた。

ID:MDL2021C03
申請者:八木 百合子(国立民族学博物館・グローバル現象研究部・助教)
研究種目:若手研究
課題名:現代アンデスにおける寄進と宗教性に関する研究:奉納品と教会記録の分析を中心に
研究期間:2020年度~2023年度

本プロジェクトの支援内容:
民族学者であり考古学者である藤井龍彦が1960年代から2000年代にかけて南米アンデス地域で撮影した写真8596点(事業開始時点でデジタル化済み)をデータベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、当該地域社会の変化を追跡するとともに、20世紀後半に大きく前進した日本のアンデス民族学の歩みを跡付けることを可能にした。この支援は2018年度にひき続いておこなわれたもので、合計15208点の写真資料を研究利用できるようになった。

ID:MDL2021C04
申請者:ボルジギン ブレンサイン(滋賀県立大学・人間文化学部・教授)
研究種目:国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
課題名:「満洲」・モンゴル社会の再編と戦後の中国社会
研究期間:2018年度~2023年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 ボルジギン ブレンサインが2000年代初頭以降に中国国内のモンゴル人村落社会(内モンゴル東部地域と東北三省)で撮影したデジタル写真5000点を、2020年度にDiPLASで構築されたデータベースに追加登録した。これにより、牧畜研究や近現代史研究への貢献をより充実したものとすることができた。

ID:MDL2021C05
申請者:田中 利和(龍谷大学・経済学部・准教授(特別任用教員))
研究種目:若手研究
課題名:現代エチオピア高地における役畜農耕文化複合とローカルイノベーションの地域研究
研究期間:2020年度~2023年度

本プロジェクトの支援内容:
エチオピア研究者である田中利和が同国ウォリソ地域で撮影した牧畜・農耕文化複合とローカルイノベーションに関するデジタル写真4684点をデータベース化し、同地のモノグラフを執筆するための資料とするとともに、日本のメーカーによるローカルイノベーションとの比較を目的とした展示会で活用した。将来的には、撮影地近辺における写真展の開催も計画しており。写真をとおした日本とエチオピアの交流と、それをとおした研究の深化に役立てる予定である。

ID:MDL2021C06
申請者:児玉 香菜子(千葉大学・ 大学院人文科学研究院・准教授)
研究種目:基盤研究(A)
課題名:中央アジアにおける牧畜社会の動態分析―家畜化から気候変動まで
研究期間:2018年度~2022年度

本プロジェクトの支援内容:
地理学者 赤木祥彦(理学博士)が1976年から1995年にかけてアジアの乾燥地で撮影した写真5126点(事業開始時にデジタル化済み)を、2020年度にDiPLASで構築されたデータベースに追加登録した。これにより、とくに近代以降の地域変化をより長い期間にわたって比較できるようになった。

ID:MDL2021C07
申請者:柳沢 英輔(京都大学・アジア・アフリカ地域研究研究科・特任助教)
研究種目:基盤研究(C)
課題名:伝統技術の言語化による継承可能性―ベトナム中部地域のゴング製作・調律の事例から
研究期間:2020年度~2022年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 柳沢英輔が2006年11月から2008年2月にかけてベトナム中部地域で撮影したデジタル動画30点(mini-DVテープ、のべ27時間44分32秒)を、2020年度にDiPLASで構築されたデータベースに追加登録した。これにより、科研費プロジェクトのテーマでもあるゴングの製作と調律の地域間比較を、格段に多くの項目においておこなえるようになった。

ID:MDL2021C08
申請者:中村 真里絵(立命館大学・非常勤講師)
研究種目:基盤研究(B)
課題名:東南アジア水辺集落の居住文化・景観の再生とリバース・イノベーションによる発信
研究期間:2018年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 中村真里絵が2020年1月26日~28日にかけて撮影した南ラオスのピーポープの浄化儀礼に関するデジタル動画317本(のべ4時間46分13秒)をデータベース化し、科研費プロジェクトのメンバーや現地協力者と共有できるようにした。新型コロナウィルス感染症の流行が終息し、海外との往来が復旧してから本格的な共有が進めば、儀礼の手順や意味、変異の幅などを詳細に明らかにすることができる。

ID:MDL2021C09
申請者:栗本英世(大阪大学・大学院人間科学研究科・教授)
研究種目:基盤研究(C)
課題名:失敗国家の多元的地域研究
研究期間:2019年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
人類学者 栗本英世が南スーダン内戦中の2015年1月~2019年9月に首都ジュバおよびウガンダ・カンパラにあるスーダン難民村で撮影した約700点の写真を、2017年度から2019年度までにDiPLASで構築されたデータベースに追加登録した。追加登録されたもののなかには、村落部の人びとが難民として都市生活するようすも記録されている。今年度の登録により、村落部と都市部を比較することと、両者を関連づけて考察することが可能になった。

MDL2021C10
申請者:大坪 玲子(東京外国語大学・アジア・アフリカ言語文化研究所・フェロー)
研究種目:国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
課題名:ポスト・アラブの春時代における中東ムスリムのグローバル移動と社会関係の複合的再編
研究期間:2019年度~2023年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 大坪玲子が2003年から2013年にかけてイエメンで撮影したデジタル写真1859点とデジタル動画12本をデータベース化し、調査対象地域に住む人びとやそこから移出した人びとと共有を図った。今後、イエメンの風景がこれらの人びとに喚起するノスタルジーについての資料を集め、詳しく分析することが可能となった。

ID:MDL2021C11
申請者:宮岡 真央子(福岡大学・人文学部・教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題名:台湾「原住民運動」前史の生活世界の変容と実践:写真アーカイブスによる人類学的探究
研究期間:2019年度~2022年度

本プロジェクトの支援内容:
言語学者 森口恒一が1994年以降にバシー海峡を中心としたフィリピン・台湾の諸地域で撮影したデジタル画像約4744点を、2019年度にDiPLASで構築されたデータベース(より古い時期に撮影されたフィルム写真が主体)に追加登録した。これにより、生活や景観に関わる地域の変化がより長い期間にわたって比較できるようになり、その地域で活動をおこなう研究者や地域の住民にとっての資料価値が高まった。

◆ 2021年度採択プロジェクト〔第1次採択分〕

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ID:MDL2021A01
申請者:佐藤 廉也(大阪大学・文学研究科・教授)
研究種目:基盤研究(A)
課題番号:20H00046
課題名:20世紀中期以降における焼畑と熱帯林の変容メカニズムの地域間比較研究
研究期間:2020年~2024年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 福井勝義が1982年から1985年にかけてスーダン南部のナーリム居住域およびエチオピア南西部のボディ居住域で撮影した写真3296点をデジタル化し、2019年度から2020年度にかけてDiPLASで構築したデータベースに追加登録した。これにより、当該地域の変化をいっそう長期にわたって比較できるようになると同時に、多くの項目について経年変化を追うことが可能になった。

ID:MDL2021A02
申請者:河合 文(東京外国語大学・アジア・アフリカ言語文化研究所・助教)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:20K01186
課題名:マレーシア半島部オラン・アスリ集団の定住化と人口増加にかんする人口人類学的研究
研究期間:2020年度~2024年度

本プロジェクトの支援内容:
1970年代から2010年代にかけて、申請者を中心とする科研費プロジェクトのメンバー4名がマレーシア半島部のオラン・アスリ集団に関して撮影してきた写真4900枚をデジタル化・データベース化し、メンバーと現地協力者のあいだで共有できるようにした。科研費プロジェクトは、長期における人口動態を対象とするが、今回のデータベース化により、それをそんな以外の景観や物質文化の変化とあわせて論ずることが可能となった。

ID:MDL2021B01
申請者:正垣 雅子(京都市立芸術大学・美術学部・准教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:19H01364
課題名:再現模写・仮想空間構築による敦煌莫高窟千仏図が有する規則的描写の複合的評価
研究期間:2019年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
写真家 井上隆雄が1974年にインドのラダックで撮影した仏教壁画、および同氏が1975年から1978年にかけてミャンマーのバガンで撮影した仏教壁画の写真、合計6617枚をデジタル化・データベース化し、科研費プロジェクトのメンバー間で共有した。仏教学や歴史学、文化財保存学、情報連想学、芸術学を専攻とする多様な専門家による議論をとおして、記録写真にもとづく壁画再現とその現地還元を芸術実践としておこなう見とおしがついた。

ID:MDL2021B02
申請者:鈴木 佑記(国士舘大学・政経学部・准教授)
研究種目:若手研究
課題番号:18K18258
課題名:南海産品の管理・生産・販売をめぐる実証的研究―タイとミャンマーの漁民を事例として
研究期間:2018年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
フィリピン・マレーシア・インドネシアの三国国境海域にくらすサマ(バジャウ)の生活に関して写真家 門田修が1980年から2004年にかけて撮影した写真2445枚をデジタル化・データベース化し、定住化の進展によって大きく変化した現代の生活と撮影当時とを比較できるよう整理した。広範な人びとの利用に供することで、一国史の枠組みでは捉えきれない人びとのくらしを歴史人類学の対象とすることが可能となった。

ID:MDL2021B03
申請者:縄田 浩志(秋田大学・国際資源研究科・教授)
研究種目:基盤研究(A)
課題番号:21H04372
課題名:中東ムスリム社会との長期現地調査資料の共有による文化遺産の共創と合意形成の研究
研究期間:2021年度~2023年度

本プロジェクトの支援内容:
社会学者 原隆一が1982年から2004年にかけてイランで撮影した写真5038点をデジタル化し、2019年度(代表者:椿原敦子)にDiPLASで構築したデータベースに追加登録した。当該地域の変化をいっそう長期にわたって比較できるようになると同時に、多くの項目について経年変化を追うことが可能になった。

ID:MDL2021B04
申請者:松波 康男(明治学院大学・社会学部・准教授)
研究種目:若手研究
課題番号:18K12592
課題名:苦悩に対処する社会装置としての儀礼に関する人類学的研究:エチオピアの事例から
研究期間:2018年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 松波康男が2001年から2019年にかけてエチオピア国西部のベニシャングル・グムズ州やオロミア州で撮影した写真3108点(4×5の大判フィルムを含む)をデジタル化・データベース化した。これによりエチオピア・オロモ社会の宗教儀礼に関する研究をさらに進めるための基盤が整った。

ID:MDL2021C01
申請者:内藤 直樹(徳島大学・社会産業理工学研究部・准教授)
研究種目:挑戦的研究(萌芽)
課題番号:20K20728
課題名:ゾミア的空間の地球史にむけたプレリサーチ:非人間中心主義的展開への人類学的応答
研究期間:2020年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
世界食糧農業機関(FAO)が進める世界農業遺産のひとつ、徳島県西部の傾斜地農業システム(2018年登録)の土壌を管理するための農具や農法を中心に、2019年から2021年にかけて内藤直樹が撮影したデジタル写真2765点をデータベース化した。このことにより、同地における農業の特徴を地域の人びとや実務者が知り、学ぶための格好の教材が完成した。

◆ 2020年度採択プロジェクト〔第2次採択分〕

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ID:MDL2020A03
申請者:熊谷 圭知(お茶の水女子大学・名誉教授)
研究種目:挑戦的研究(開拓)
課題番号:20K20506
課題名:パプアニューギニアにおける気候変動適応についての文理融合的共同研究
研究期間:2020年度~2022年度

本プロジェクトの支援内容:
地理学者 熊谷圭知ら3名が1980年代から2000年代にかけてパプアニューギニア各地で撮影した写真3283点をデジタル化・データベース化した。このことにより、もともと人文地理学的な視点から撮影されてきた資料を科研メンバーのあいだで共有し、自然科学的な視点から分析することが可能となった。そして、現地をかならずしもすべてのメンバーが訪問しなくとも議論と理論化を進めることができるようになった。

ID:MDL2020A04
申請者:鶴田 格(近畿大学・農学部・教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:17H04628
課題名:アフリカ半乾燥地における農牧共生に基づく持続的農村開発に関する実践的研究
研究期間:2017年度~2020年度

本プロジェクトの支援内容:
農業経済学者 池上甲一が1989年から2008年にかけてタンザニア・モザンビーク・南アフリカの3ヶ国で撮影した写真3873点をデジタル化・データベース化した。申請者は、2019年にも複数の研究者がアフリカ2ヶ国で撮影した写真をDiPLASでデータベース化しており、ポスト植民地期のアフリカ農村社会を比較するための基盤が整った。

ID:MDL2020B04
申請者:今井 一郎(関西学院大学・総合政策学部・教授)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:20K12387
課題名:マラウイ国の湿原域における住民の環境利用に関する生態人類学的研究
研究期間:2020年度~2022年度

本プロジェクトの支援内容:
生態人類学者 今井一郎が1983年から1994年にかけてザンビアやマラウィで撮影した写真2767点をデジタル化・データベース化した。このことにより、アフリカ内水面域における小規模で伝統的な漁撈活動の経年的な変化(とりわけ漁具や漁船の近代化と大型化)を追跡することが可能となり、もはや現状からは想像できないかつての漁業を地域の人たちが知る機会を提供することになった。

ID:MDL2020B05
申請者:中田 友子(神戸市外国語大学・国際関係学科・教授)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:18K01172
課題名:開発と地域住民によるローカリティとアイデンティティの再編に関する人類学的研究
研究期間:2018年度~2020年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 中田友子が1998年から2020年にかけて南ラオスの村落部で撮影した写真2962点をデジタル化・データベース化した。このことにより、ゴム・プランテーションが始まってさまざまな土地の転用がおこなわれる前と後を比較することが可能になり、かつての農山村のようすを地域の人たちが知る機会を提供することになった。

ID:MDL2020C07
申請者:宮岡 真央子(福岡大学・人文学部・教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:19H01397
課題名:台湾「原住民運動」前史の生活世界の変容と実践:写真アーカイブスによる人類学的探究
研究期間:2019年度~2022年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 小川正恭が1980年代後半から1990年代初頭にかけて台湾中部山地 阿里山に位置する原住民族ツォウの居住地で撮影した写真1120点(ポジフィルムだが、事業開始時にデジタル化済み)をデータベース化した。このことにより、2019年度にデータベース化した同じ時期の森口恒一写真(バシー海峡地域で撮影)と比較することが可能になり、隣接するふたつの地域の比較研究をおこなう基盤ができた。

ID:MDL2020C08
申請者:島田 将喜(帝京科学大学・生命環境学部・准教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:20H01409
課題名:フィールドワークとフィールド実験によるホモルーデンス論の展開
研究期間:2020年度~2024年度

本プロジェクトの支援内容:
科研費補助金プロジェクトの一環として、2002年から2019年にかけて研究代表者ら3名が撮影したデジタル写真2727点をデータベース化した。撮影地はタンザニア(とくに粗放的焼畑農耕民トングウェの人びと)、カメルーン(とくに狩猟採集民バカと農耕民バクウェレの人びと)、ケニア(とくに牧畜民マサイの人びと)である。データベース化により、地域と生業の違いを軸として定性的・定量的に遊びや関連した現象を比較することが可能になった。将来的には、人間性に対する理解を大きく前進させる可能性がある。

ID:MDL2020C09
申請者:山内 太郎(北海道大学・保健科学研究員・教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:18H00992
課題名:子どもと地域と研究者が共創するサニテーション
研究期間:2018年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
科研費補助金プロジェクトの一環として、2017年から2019年にかけて研究代表者ら6名が撮影したデジタル写真7835点をデータベース化した。対象となった写真は、ザンビア国ルサカ市の子どもクラブDziko Langaのメンバーとその活動を撮影したものである。データベース化された写真は、選択と順序付けをほどこされ、デジタル・ストーリーテリングをおこなうための素材として統合された。この素材は、サニテーションに関する専門知と、コミュニティのなかにある身体知や生活知との関係を明らかにするためのアクション・リサーチに活用される予定である。

ID:MDL2020C10
申請者:辛嶋 博善(国立民族学博物館・北東アジア地域研究拠点・特任助教)
研究種目:基盤研究(A)
課題番号:17H00897
課題名:モンゴルに関する画像記録を用いた地域像の再構築
研究期間:2017年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
モンゴル地域研究者 鯉渕信一が1973年から1995年にかけてモンゴルで撮影した写真171点(事業開始時にデジタル化済み)をデータベース化した。このことにより、社会主義体制崩壊前後における都市景観の著しい変化を詳細に点検することが可能となった。

◆ 2020年度採択プロジェクト〔第1次採択分〕

以下、ID番号前のABCは支援カテゴリーを示す。カテゴリーの詳細はこちら

ID:MDL2020A01
申請者:佐藤 廉也(大阪大学・大学院・文学研究科・教授)
研究種目:挑戦的研究(萌芽)
課題番号:18K18539
課題名:系統解析手法を用いた知識の伝達・継承・変容・拡散に関する実証的研究
研究期間:2018年度~2020年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 福井勝義が1967年から1985年にかけてエチオピア南西部のボディ居住域やスーダン南部のナーリム居住域、ケニア北部などで撮影した写真4726点をデジタル化し、2019年度にDiPLASで構築したデータベースに追加登録した。これにより、当該地域の変化を長期にわたって視覚的に比較することが可能になった。

ID:MDL2020A02
申請者:林 耕次(総合地球環境学研究所・研究部・研究員)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:19K12493
課題名:アフリカ熱帯における狩猟採集民のサニテーションに関する人類学的研究
研究期間:2019年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
生態人類学者 佐藤弘明が1976年から2003年にかけてカメルーン熱帯雨林地帯で撮影した写真2724点をデジタル化・データベース化した。その撮影地と撮影対象は、同じ提案者により2019年度にDiPLASで構築されたデータベースと重複しており、撮影時期だけが大きく異なる。ふたつのデータベース化により、当該地域の生活や景観が長期間にわたって変化するようすが明らかになり、世代を超えた息の長いフィールド調査の効用を示すことができた。

ID:MDL2020B01
申請者:黒田 賢治(国立民族学博物館・現代中東地域研究拠点・特任助教)
研究種目:若手研究
課題番号:18K18270
課題名:現代イランにおける長期的紛争介入構造をめぐる殉教概念の変容と政治言説化の研究
研究期間:2018年度~2020年度

本プロジェクトの支援内容:
社会学者 原隆一が1998年から2004年にかけてイランで撮影した写真6891点をデジタル化し、2019年度(代表者:椿原敦子)にDiPLASで構築したデータベースに追加登録した。これにより、当該地域の変化を長期にわたって視覚的に比較することが可能になった。

ID:MDL2020B02
申請者:小西 潤子(沖縄県立芸術大学・音楽学部・教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:18H00637
課題名:三線の製作課題解決に向けての生態音楽学的実践研究
研究期間:2018年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
民族音楽学者 山口修が1960年代から1990年代にかけてアジア・オセアニア・ヨーロッパ・アフリカなどで撮影した楽器や音楽芸能パフォーマンスの写真をデジタル化し、2019年度にDiPLASで構築したデータベースに追加登録した。これにより、楽器製作を継承しようとしている人びととともに進められる共同研究の範囲が格段に広がり、将来的な研究の発展が見込めるようになった。

ID:MDL2020B03
申請者:小野 林太郎(国立民族学博物館・人類文明誌研究部・准教授)
研究種目:国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
課題番号:18KK0019
課題名:オセアニアの人類移住と島嶼間ネットワークに関わる考古学的研究
研究期間:2018年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
染色家であり著述家でもある福本繁樹が1969年から1990年にかけてオセアニア各地で撮影してきた樹皮布その他の民族美術写真1719枚をデジタル化し、2019年度にDiPLASで構築したデータベースに追加登録した。これにより、福本が収集した実物の樹皮布についての科学的情報(とくにDNA分析結果)との相互参照が可能になり、さまざまな分野の研究者が写真資料を利用する端緒を開くことができた。

ID:MDL2020C01
申請者:ボルジギン ブレンサイン(滋賀県立大学・人間文化学部教授・教授)
研究種目:国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
課題番号:18KK0018
課題名:「満洲」・モンゴル社会の再編と戦後の中国社会
研究期間:2018年度~2023年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 ボルジギン ブレンサインが1990年代初頭から2019年に中国国内のモンゴル人村落社会(内モンゴル東部地域と東北三省)で撮影した写真5082点(事業開始時点でデジタル化済み)をデータベース化した。これにより、グローバル化が牧畜社会に与えた広範な変化を一望できるようになり、牧畜研究や近現代史研究に貴重な資料を提供することができた。

ID:MDL2020C02
申請者:藤田 香(近畿大学・総合社会学部・教授)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:17K02055
課題名:日本と中国の地域資源をいかした都市・農村間連携モデルと持続可能コミュニティの創出
研究期間:2017年度~2020年度

本プロジェクトの支援内容:
科研費補助金プロジェクトの一環として、2004年から2018年にかけて研究代表者ら7名が中華人民共和国貴州省で撮影したデジタル写真8797点をデータベース化した。対象となった地域は外国人が単独で滞在することがむずかしく、いっぽうで、市場経済の浸透による景観や生活の変化が著しい。データベース化により、現場に居合わせることがむずかしい貴重な場面を、多くの研究者が資料として利用できるようになった。

ID:MDL2020C03
申請者:蒋 宏偉(総合地球環境学研究所・研究基盤国際センター・特任助教)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:17K02061
課題名:南中国と周辺地域における地域伝統知を中心とした持続可能開発モデルの共創
研究期間:2017年度~2020年度

本プロジェクトの支援内容:
人類生態学者 蒋偉宏が2010年から2012年までに南中国とラオスで撮影したデジタル写真3222点を、2019年にDiPLASで構築されたデータベースに追加登録した。これにより、国家主導の大規模開発にさらされている地域の変化をより長期間で追跡できるようになり、資料的価値を高めることができた。

ID:MDL2020C04
申請者:児玉 香菜子(千葉大学・人文科学研究院・准教授)
研究種目:基盤研究(A)
課題番号:17H01639
課題名:アフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明の近代動態分析―「近代世界システム」との相克―
研究期間:2017年度~2020年度

本プロジェクトの支援内容:
地理学者 赤木祥彦(理学博士)が1968年から1995年にかけて世界各地の乾燥地(南北アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニア)で撮影した写真1576点(事業開始時にデジタル化済み)をデータベース化した。これにより、人類文明の発祥となった地域の自然条件を明らかにするとともに、近代におけるさまざまな変化がこうした地域でどのような連鎖をひき起こしてきたかを考察する資料が整備された。

ID:MDL2020C05
申請者:柳沢 英輔(同志社大学・文化遺産情報科学研究センター・嘱託研究員)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:20K00162
課題名:伝統技術の言語化による継承可能性―ベトナム中部地域のゴング製作・調律の事例から
研究期間:2020年度~2022年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 柳沢英輔が2006年から2018年にかけてベトナム中部地域で撮影したデジタル写真707点(内9点は動画)をデータベース化した。写真と動画の多くは、科研費プロジェクトのテーマでもあるゴングの製作と調律に関わるもので、地域ごとの差異を比較することが可能になった。

ID:MDL2020C06
申請者:津田 睦美(関西学院大学・総合政策学部・教授)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:18K11832
課題名:仏領ニューカレドニア日本人移民史―写真の表象分析による実態解明とアーカイブ
研究期間:2018年度~2020年度

本プロジェクトの支援内容:
仏領ニューカレドニアに住む日本人移民が撮影した写真647点(撮影時期は1897年頃から1960年頃、事業開始時点でデジタル化済み)をデータベース化した。このことにより、新型コロナウィルス感染症の流行で地域間の移動が制限される状況において、写真を提示しながら撮影されているものや撮影時の状況を詳細に聞きとることができるようになり、家族レベルでのみ用いられていた写真の歴史資料化を進めることができた。

◆ 2019年度採択プロジェクト

ID:MDL2019A01
申請者:大野 旭(静岡大学・人文社会科学部・教授)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:19K12500
課題名:新疆の形成とウイグル民族問題に関する調査研究
研究期間:2019年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
社会人類学者 松原正毅が、1992年から97年にかけて新疆ウイグル自治区、青海省、ロシア、モンゴル国で撮影した、遊牧民・都市住民・遺跡・バザール等に関する5493点のポジ・フィルムのデジタル化・データベース化をおこなった。これによって、調査困難地域であった地域における社会主義経験に関する学術資料の蓄積がはかられたとともに、本科研プロジェクトの研究成果公開を促進することが可能となった。

ID:MDL2019A02
申請者:島村 一平(滋賀県立大学・人間文化学部・准教授)
研究種目:基盤研究(A)
課題番号:16H02719
課題名:モンゴル仏教のグローカル実践に関する学際・国際的地域研究
研究期間:2016年度~2020年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 島村一平が1990年代~2000年代初頭かけて撮影したモンゴル仏教に関する写真(3917点)・ビデオテープ(41巻)をデジタル化し、2018年度に作成済のデータベースに追加登録した。これによりコレクションが完成し、当時のモンゴルにおける宗教実践の在り方と現代における実践の時系列変化を追う網羅的な比較研究が可能となった。ビデオテープは一部劣化が進行し始めていたが、デジタル化によって貴重な研究データを救出することができた。

ID:MDL2019A03
申請者:林 耕次(総合地球環境学研究所・研究部・研究員)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:19K12493
課題名:アフリカ熱帯における狩猟採集民のサニテーションに関する人類学的研究
研究期間:2019年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
生態人類学者 林耕次が、1998年から2002年にかけて撮影した、カメルーンのピグミー系狩猟採集民に関する4683点の、ポジ・フィルムのデジタル化・データベース化をおこなった。これによって、狩猟採集民の定住化過程、生活様式の変化に関する写真の学術資源化とともに、定住に伴うサニテーション問題を解明する本科研プロジェクトの可視化を実現することができた。

ID:MDL2019A04
申請者:杉山 祐子(弘前大学・人文社会科学部・教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:18H00776
課題名:アフリカ農民の生計における小規模な現金獲得活動と「在来の技術革新史」への視角
研究期間:2018年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 杉山祐子が1983年~2014年にかけてタンザニア(ドドマ州)およびザンビア(北部州)、日本国内(青森、岩手、福島、高知)において撮影した写真(855点)をデジタル化・データベース化した。これによって、消滅しつつある在来農法の記録や変容しつつある農村の様相の記録と、同地域で1930年代に記録された農法や農村の様子との比較が可能になった。また展示などを通じた研究成果の社会的還元が推進された。

ID:MDL2019A05
申請者:鶴田 格(近畿大学・農学部・教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:17H04628
課題名:アフリカ半乾燥地における農牧共生に基づく持続的農村開発に関する実践的研究
研究期間:2017年度~2020年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者・農業経済学者の鶴田格がタンザニア中央部のゴゴ人社会を対象に2010年から2019年にかけて撮影した写真(8096点、内146点はビデオ)と黒田真が撮影した(502点)、また杉村和彦が1986年から1990年代初頭にかけてザイール(現コンゴ民主共和国)東部の熱帯雨林の焼畑農耕民を撮影した写真(4196点)をデジタル化・データベース化した。これにより、この研究プロジェクトで進められている地域間比較(東アフリカ半乾燥地の農牧民と熱帯雨林の焼畑農耕民の生業形態変容の比較)が容易となった。

ID:MDL2019B01
申請者:佐藤 廉也(大阪大学・文学研究科・教授)
研究種目:挑戦的研究(萌芽)
課題番号:18K18539
課題名:系統解析手法を用いた知識の伝達・継承・変容・拡散に関する実証的研究
研究期間:2018年度~2020年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 福井勝義が1970年代にエチオピア西南部において牧畜民ボディに関する長期のフィールドワークをおこなったときの写真の一部(6164点)をデジタル化・データベース化した。これによって牧畜民ボディの当時の文化の復原や西南部諸民族の文化要素の分布に関する未知の情報の可視化が可能になるなど、文化進化研究の資料基盤を提供することができた。

ID:MDL2019B02
申請者:小野 林太郎(国立民族学博物館・人類文明誌研究部・准教授)
研究種目:国際共同研究強化(B)
課題番号:18KK0019
課題名:オセアニアの人類移住と島嶼間ネットワークに関わる考古学的研究
研究期間:2018年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
福本繁樹が、1960年代以来撮影してきた、オセアニア民族美術写真(ポジ・フィルム等)4928点のデジタル化・データベース化をおこなった。タパ(樹皮布)を主な撮影対象のひとつとする一連の画像は、タパの拡散を軸としたオセアニアの人類史解明を目的のひとつとした本科研にとって重要な資料となった。

ID:MDL2019B03
申請者:小西 潤子(沖縄県立芸術大学・音楽学部・教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:18H00637
課題名:三線の製作課題解決に向けての生態音楽学的実践研究
研究期間:2018年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
民族音楽学者である山口修がハワイ大学修士課程在学中の1960年代半ばから1990年までに、アジア・オセアニア各地の楽器製作や演奏等を記録した写真(5033点)をデジタル化・データベース化した。これにより楽器の材料枯渇や製造技術伝承の危機に面する製作者や市民団体と情報共有が容易になるなど、研究・実践の発展に貢献することができた。

ID:MDL2019B04
申請者:宮岡 真央子(福岡大学・人文学部・教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:19H01397
課題名:台湾「原住民運動」前史の生活世界の変容と実践:写真アーカイブスによる人類学的探求
研究期間:2019年度~2022年度

本プロジェクトの支援内容:
言語学者 森口恒一が1970~90年代にバシー海峡を中心としたフィリピン・台湾の諸地域でおこなった現地調査において撮影した約6628点のフィルムをデジタル化・データベース化した。研究プロジェクトの基礎資料とその活用基盤の整備によって台湾原住民族の社会状況と隣接地域であるフィリピンのそれとの比較が可能となった。

ID:MDL2019B05
申請者:椿原 敦子(龍谷大学・社会学部・准教授)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:17K03302
課題名:イランにおける「宗教」の社会的布置の変化に関する人類学的研究
研究期間:2017年度~2019年度

本プロジェクトの支援内容:
社会学者 原隆一が、1975年から97年にかけてイランにおいて撮影した、ネガおよびポジ・フィルム3900点のデジタル化・データベース化をおこなった。本写真コレクションに収蔵された撮影対象は、都市、農村、風景等を含む多岐にわたるものである。デジタル化・データベース化された画像は、服喪儀礼の通時的変化の解明を目的とした本研究の、重要な資料となる。

ID:MDL2019C01
申請者:石井 洋子(聖心女子大学・現代教養学部・准教授)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:19K01207
課題名:ケニア人女性の越境と母国開発をめぐる人類学的研究
研究期間:2019年度~2022年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学・社会人類学者 石井洋子らが撮影した、ケニア共和国出身のギクユ人の社会生活に関する人類学的フィールドワーク写真、、ケニアの地理学的写真資料6788点のデータベース化をおこなった。当該写真コレクションの内容は2つに大別される。ひとつは1990年代から2000年代にかけてのケニア農村の社会変容に注目したもの、もうひとつは2015~16年にかけてのアメリカ合衆国に移住したギクユ人に焦点をあてたものである。データベース化によって、自由化に翻弄された時代のケニア農村、および移住先での暮らしを学術資源化することができた。

ID:MDL2019C02
申請者:蒋 宏偉(総合地球環境学研究所・研究基盤国際センター・特任助教)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:17K02061
課題名:南中国と周辺地域における地域伝統知を中心とした持続可能開発モデルの共創
研究期間:2017年度~2019年度

本プロジェクトの支援内容:
人類生態学者 蒋偉宏が、2002年から2009年まで撮影した、南中国およびラオスにおける、生活、生業、保健衛生環境を主要テーマとする3445点の写真資料のデータベース化をおこなった。当該地域社会は、この20年の間に国家の開発計画に沿うかたちで大きな変容をとげてきた。本データベースは、この変容を可視化するための重要な研究資料となる。

ID:MDL2019C03
申請者:中村 亮(福岡大学・人文学部・准教授)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:17K03308
課題名:漁民とジュゴンの海域利用特性の解明による共存型海洋保護区モデルの創出
研究期間:2017年度~2019年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 中村亮が、2000年以降研究・調査を継続してきた、タンザニア、キルワ島で特に研究初期に撮影された写真資料1149点のデータベース化をおこなった。これにより「インド洋西海域世界の比較研究」のための写真資料の整理が促進された。

ID:MDL2019C04
申請者:手代木 功基(摂南大学・外国語学部・講師)
研究種目:若手研究
課題番号:18K12575
課題名:放牧地における「景観の分断化」に関する地理学的研究
研究期間:2018年度~2020年度

本プロジェクトの支援内容:
地理学者 手代木巧基が、2006年から16年まで、ナミビア共和国において撮影した、560点のデジタル写真のデータベース化をおこなった。データベース化によって、本科研プロジェクトの課題である「放牧地における景観の分断化」に関する可視的考察をすすめることができた。

ID:MDL2019C05
申請者:栗本 英世(大阪大学・人間科学研究科・教授)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:19K12527
課題名:失敗国家の多元的地域研究――新生南スーダンにおける内戦の分析と平和への展望
研究期間:2019年度~2021年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 栗本英世がスーダン内戦末期から2018年までに撮影した南スーダンの人びとの姿を記録した写真・ビデオ(5697点)をデータベース化した。これらを2017~2018年度にデジタル化・データベース化した写真コレクション(1978年~86年に南スーダンにて撮影、1988年~99年にエチオピアおよびケニアにて撮影)に追加登録し、「東北アフリカ民族誌」の写真コレクションが完結した。これにより当該地域における複雑な相互関係やからまり合いの分析を跡付ける写真資料の網羅的な検索・抽出が可能となり、研究の飛躍的進展に貢献することができた。

◆ 2018年度採択プロジェクト

ID:MDL2018A01
申請者:島村 一平(滋賀県立大学・人間文化学部・准教授)
研究種目:基盤研究(A)
課題番号:16H02719
課題名:モンゴル仏教のグローカル実践に関する学際・国際的地域研究
研究期間:平成28年度~令和2年度

本プロジェクトの支援内容:
島村一平が1990年から2000年にかけてモンゴル国、内モンゴル、ソ連で撮影した「モンゴル仏教のグローカル実践に関する学際・国際的地域研究」に関する写真4074点、およびビデオテープ114巻をデジタル化・データベース化した。これを研究プロジェクト内で共有することで、モンゴルにおける宗教実践の在り方を時系列的に比較することが可能となり、宗教実践の変容がより明確となるなど、本研究に新たな視座を提供することができた。

ID:MDL2018A02
申請者:八木 百合子(国立民族学博物館・人類基礎理論研究部・助教)
研究種目:若手研究(B)
課題番号:17K13594
課題名:アンデスにおける聖人信仰の展開に関する人類学的研究―聖像の所有と継承に注目して
研究期間:平成29年度~平成31年度

本プロジェクトの支援内容:
民族学者であり考古学者である藤井龍彦が1966年から1990年にかけて南米アンデス地域で撮影した写真6607点をデジタル化・データベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、当該地域社会の変化を追跡するとともに、20世紀後半に大きく前進した日本のアンデス民族学の歩みを跡付けることを可能にした。

ID:MDL2018A03
申請者:長田 俊樹(総合地球環境学研究所・名誉教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:18H00672
課題名:ムンダ諸語における危機言語のドキュメンテーション
研究期間:平成30年度~令和3年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 杉山晃一が1963年から1964年にかけてインド東部ムンダ社会で撮影した農耕や宗教儀礼に関する写真2501点をデジタル化・データベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、当該地域社会の変化を追跡することを可能にした。

ID:MDL2018A04
申請者:関 雄二(国立民族学博物館・人類文明誌研究部・教授)
研究種目:基盤研究(A)
課題番号:16H02729
課題名:アンデス文明における権力生成と社会的記憶の構築
研究期間:平成28年度~令和2年度

本プロジェクトの支援内容:
考古学者 寺田和夫ならびに東京大学アンデス調査団が1979年から1985年にかけて撮影したアンデス考古学に関する写真5000点をデジタル化・データベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、60年にわたる日本のアンデス考古学の歩みを跡付けるとともに、展示等を通じた現地への成果還元を可能にした。

ID:MDL2018A05
申請者:栗本 英世(大阪大学・人間科学研究科・教授)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:15K03041
課題名:モニョミジ・システムの人類学的研究:南スーダンにおける小政体、民族間関係と国家
研究期間:平成27年度~平成30年度

本プロジェクトの支援内容:
栗本英世が1988年から1998年にかけて撮影した東アフリカ多民族社会に関する写真(主としてエチオピアで撮影)約2640点をデジタル化・データベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、当該地域社会の変化を追跡することを可能にするとともに、研究成果の現地還元を促進した。この支援は、2017年度からひき続いておこなわれたもので、合計して約6598点の写真資料を研究目的で利用することを可能にした。

ID:MDL2018B01
申請者:縄田 浩志(秋田大学・大学院国際資源学研究科・教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:16H05658
課題名:半世紀に及ぶアラビア半島とサハラ沙漠オアシスの社会的紐帯の変化に関する実証的研究
研究期間:平成28年度~令和2年度

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 片倉もとこが1968年から2003年にかけて撮影したアラブ文化に関する写真1280点をデジタル化・データベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、当該地域社会の変化を追跡することを可能にした。この支援は、2016年度および2017年度の支援にひき続いておこなわれたもので、片倉もとこ記念沙漠文化財団が独自にデジタル化していた写真を含めて約14362点の写真資料すべてが研究目的で利用可能となった。

ID:MDL2018B02
申請者:福田 雄(東北大学・東北アジア研究センター・助教)
研究種目:若手研究
課題番号:18K12916
課題名:災害遺構の比較社会学―東日本大震災とスマトラ島沖地震を事例として
研究期間:平成30年度~令和2年度

本プロジェクトの支援内容:
福田雄が2014年から2017年にかけてインドネシア共和国アチェ特別州で撮影した州主催のスマトラ島沖地震津波記念行事に関するデジタル静止画像1700点をデータベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、自然災害に関する記憶の継承実態を記録するとともに、展示等を通じた現地への成果還元を可能にした。

ID:MDL2018B03
申請者:牟田口 章人(帝塚山大学・文学部・教授)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:16K03171
課題名:リモートセンシング技術を用いた中国内蒙古自治区の遼代皇帝陵の同定と文化財調査
研究期間:平成28年度~平成30年度
プロジェクトの成果公開:奈良の大和文華館で研究分担者の桑原有寿子(九州国立博物館)が口頭発表し(2019年2月17日)、新聞各紙が成果を紹介した。

本プロジェクトの支援内容:
牟田口章人が2016年および2018年に中国内蒙古自治区の内蒙古博物院および内蒙古文物考古研究所で撮影した古代染織(遼代染織)の発掘品に関する写真5747点をデータベース化し、研究プロジェクト内で共有した。これにより日本の染織類との比較対照が可能となり、東アジアの染織史研究発展へむけた展望をえることができた。

ID:MDL2018B04
申請者:碇 陽子(明治大学・政治経済学部・専任講師)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:17K03278
課題名:人類学における不確実性をめぐる理論的視座の再構築
研究期間:平成29年度~平成31年度

本プロジェクトの支援内容:
岡正雄が1923年、1963年、1977年にアラスカ州アナクトブク・パスで撮影した、文化人類学資料写真、1131点をデジタル化・データベース化した。デジタル化・データベース化された画像は、当該科研のテーマである「不確実性との向き合い方」の考察の重要な資料となった。また、岡正雄画像資料のデジタル化・データベース化は日本の文化人類学史の研究の進展に大きく貢献するものでもある。

ID:MDL2018B05
申請者:藤本 武(富山大学・人文学部・教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:18H03441
課題名:アフリカ食文化研究の新展開:食料主権論のために
研究期間:平成30年度~令和3年度

本プロジェクトの支援内容:
藤本武、小松かおり、安渓貴子、佐藤靖明、藤岡悠一郎、石山俊が1994年から2018年にかけて撮影した、アフリカ食文化および食料主権に関する画像1352点をデジタル化・データベース化し、科研プロジェクトメンバー内で共有した。これによって、多様なアフリカ食文化と現代の食糧主権問題に関する研究を進捗させることができた。

ID:MDL2018B06
申請者:林 勲男(国立民族学博物館・学術資源研究開発センター・教授)
研究種目:基盤研究(A)
課題番号:18H03595
課題名:大規模災害に関する集合的記憶の物象化・物語化と防災教育
研究期間:平成30年度~令和3年度

本プロジェクトの支援内容:
林勲男、牧紀男、石川新一が2000年から2009年にかけてパプアニューギニア、サンダウン州沿岸にて撮影した「パプアニューギニア、ニューギニア島沖地震の被災地とその周辺地域」に関する調査写真2551点をデジタル化・データベース化し、研究プロジェクト内で共有した。これにより調査者自身の営為と被災地の人びとの営為を比較分析することに成功し、展示等を通じた現地への成果還元の展望を開くことができた。

◆ 2017年度採択プロジェクト

ID:MDL2017A01
申請者:小長谷 有紀(国立民族学博物館・超域フィールド科学研究部・併任教授)
研究種目:基盤研究(A)
課題番号:17H00897
課題名:モンゴルに関する画像記録を用いた地域像の再構築
研究期間:平成29年度~平成33年度、平成29年度配分額7,100千円

本プロジェクトの支援内容:
小長谷有紀が1985年から1989年にかけて撮影したモンゴル研究に関する写真(主として中国内モンゴル地域で撮影したもの)約4000点をデジタル化・データベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、当該地域社会の変化を追跡することを可能にした。また、小長谷有紀が別途に独自でデジタル化していた写真(主としてモンゴル国で撮影したもの)約5600点もあわせてデータベース化し、地域間比較も可能にした。

ID:MDL2017A02
申請者:縄田 浩志(秋田大学大学院・国際資源学研究科・教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:16H05658
課題名:半世紀に及ぶアラビア半島とサハラ沙漠オアシスの社会的紐帯の変化に関する実証的研究
研究期間:平成28年度~平成31年度、平成29年度配分額2,500千円

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 片倉もとこが1982年から2003年にかけて撮影したアラブ文化に関する写真(主としてアラビア半島ならびに中東各国で撮影したもの)5000点をデジタル化・データベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、当該地域社会の変化を追跡することを可能にした。この支援は、2016年度の支援からひき続いておこなわれたもので、片倉もとこ記念沙漠文化財団が独自にデジタル化していた写真を含めて約14000点の写真資料を研究目的で利用することを可能にした。

ID:MDL2017A03
申請者:大野 旭(楊 海英)(静岡大学・人文社会科学部・教授)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:15K03036
課題名:ウイグル族・朝鮮族・チワン族の文化大革命に関する実証研究
研究期間:平成27年度~平成29年度、平成29年度配分額1,200千円

本プロジェクトの支援内容:
文化人類学者 松原正毅が1991年から1992年にかけて中国新疆ウイグル自治区で撮影した写真約4700点をデジタル化・データベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、当該地域社会の変化を追跡するとともに、資料共有の国際化を促進した。

ID:MDL2017A04
申請者:栗本 英世(大阪大学・人間科学研究科・教授)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:15K03041
課題名:モニョミジ・システムの人類学的研究:南スーダンにおける小政体、民族間関係と国家
研究期間:平成27年度~平成30年度、平成29年度配分額1,100千円

本プロジェクトの支援内容:
栗本英世が1978年から1985年にかけて撮影した東アフリカ多民族社会に関する写真(主として南スーダンおよびケニアで撮影)約4000点をデジタル化・データベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、当該地域社会の変化を追跡することを可能にするとともに、研究成果の現地還元を促進した。

ID:MDL2017B01
申請者:椿原 敦子(龍谷大学・社会学部・講師)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:17K03302
課題名:イランにおける「宗教」の社会的布置の変化に関する人類学的研究
研究期間:平成29年度~平成31年度、平成29年度配分額1,000千円

本プロジェクトの支援内容:
椿原敦子と共同研究者 黒田賢治が撮影したデジタル静止画像約800点および動画約300点をデータベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、複数の調査地点の地域間比較を可能にするとともに、展示等を通じた成果の社会還元に向けての準備を進めた。

ID:MDL2017B02
申請者:小磯 学(神戸山手大学・現代社会学部観光文化学科・教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:15H05147
課題名:南アジアの紅玉髄製工芸品の流通と価値観-「伝統」と社会システムの変容の考察
研究期間:平成27年度~平成29年度、平成29年度配分額3,100千円

本プロジェクトの支援内容:
小磯学と他の共同研究者6名が撮影したデジタル静止画像約2100点をデータベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、複数の調査地点の地域間比較を可能にするとともに、研究成果の現地還元を促進した。

ID:MDL2017B03
申請者:瀬木 志央(甲南女子大学・文学部多文化コミュニケーション学科・講師)
研究種目:基盤研究(C)
課題番号:17K02057
課題名:フィリピンにおけるエンパワメントを目的とした沿岸資源管理と災害復興に関する考察
研究期間:平成29年度~平成31年度、平成29年度配分額900千円

本プロジェクトの支援内容:
瀬木志央が撮影したデジタル静止画像約200点をデータベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、当該地域社会の変化を追跡することを可能にするとともに、研究成果の現地還元を促進した。

ID:MDL2017B04
申請者:飯田 玲子(京都大学・大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・特定助教)
研究種目:若手研究(B)
課題番号:17K13286
課題名:現代インドにおける文化産業の多層化―ボリウッド映画と地域語映画の相関関係を事例に
研究期間:平成29年度~平成31年度、平成29年度配分額1,000千円

本プロジェクトの支援内容:
飯田玲子が撮影したデジタル静止画像約450点および動画約20点をデータベース化し、研究プロジェクト内で共有することで、当該地域社会の変化を追跡することを可能にするとともに、展示等を通じた成果の社会還元に向けての準備を進めた。

◆ 2016年度採択プロジェクト

ID:MDL201601
申請者:縄田 浩志(秋田大学・大学院国際資源学研究科・教授)
研究種目:基盤研究(B) 
課題番号:16H05658
課題名:半世紀に及ぶアラビア半島とサハラ沙漠オアシスの社会的紐帯の変化に関する実証的研究
研究期間:平成28~31年度、平成28年度配分額3,900千円
本プロジェクト(DiPLAS)への申請者は研究代表者
本プロジェクトの支援期間:平成28年度

本プロジェクトの支援内容:
およそ半世紀前から、日本の地理学者・小堀巌並びに文化人類学者・片倉もとこががアラビア半島で撮影した写真資料約7000点をデータベース化し、研究プロジェクト内で共有化することで、当該地域社会の変化の追跡を可能とするとともに、展示等を通じた現地への成果還元を可能にした。

ID:MDL201602
申請者:片岡 修(関西外国語大学・国際言語学部・教授)
研究種目:基盤研究(B)
課題番号:25300042
課題名:ミクロネシアにおける巨石文化の成立と社会複雑化のプロセスを探る考古学的研究
研究期間:平成25~28年度、平成28年度配分額2,600千円
本プロジェクト(DiPLAS)への申請者は研究代表者
本プロジェクトの支援期間:平成28年度

本プロジェクトの支援内容:
片岡修が1980年代以降現在まで従事してきたミクロネシアにおける巨石文化の発掘・研究で蓄積されてきた写真資料約9000点をデジタル化・データベース化し、研究プロジェクト内で共有化することで、ポーンペイ島ナンマドール遺跡をはじめ、ヤップ島、パラオ島における巨石文化の成立と社会の複雑化のプロセスの考察を支援するとともに、展示等を通じて、遺跡の保存・保護に向けた提言を可能にした。

ID:MDL201603
申請者:森田 剛光(国立民族学博物館・民族社会研究部・外来研究員)
研究種目:若手研究(B) 
課題番号:26770290
課題名:滞日ネパール人の生活実践と労働動態の研究
研究期間:平成26~28年度、平成28年度配分額900千円
本プロジェクト(DiPLAS)への申請者は研究代表者
本プロジェクトの支援期間:平成28年度

本プロジェクトの支援内容:
森田剛光が推進する滞日ネパール人の生活実践と故地ネパールとの関係の研究を通じて蓄積されてきた森田剛光・大西保(登山家)・稲葉香(写真家)撮影によるネパール関係写真資料約2000点をデータベース化することで滞日ネパール人、ならびに撮影地であるネパール在住者の間での写真資料の共有化を促進し、ネパール人のアイデンティティに関する研究の進展をはかるとともに、研究成果の現地還元を促進した。

ID:MDL201604
申請者:市川 光雄(京都大学・アフリカ地域研究資料センター・研究員(京都大学・名誉教授))
研究種目:基盤研究(A) 
課題番号:15H02598
課題名:アフリカ先住民のディレンマと将来像に関する研究
研究期間:平成27~30年度、平成28年度配分額8,300千円
本プロジェクト(DiPLAS)への申請者は研究代表者
本プロジェクトの支援期間:平成28年度

本プロジェクトの支援内容:
市川光雄が過去40余年にわたって今後民主共和国、コンゴ共和国、カメルーン、ザンビア等、中部アフリカ各地において撮影した先住民関係の写真資料訳6000点をデジタル化・データベース化し、研究プロジェクト内で共有化することで、当該地域の社会と自然環境との関係の変化を跡づけることを可能にした。

ID:MDL201605
申請者:嶋田 義仁(中部大学・中部高等学術研究所・客員教授)
研究種目:基盤研究(A) 
課題番号:26257003
課題名:アフロ・ユ―ラシア内陸乾燥地文明の歴史生態人類学的研究
研究期間:平成26~28年度、平成28年度配分額10,400千円
本プロジェクト(DiPLAS)への申請者は研究代表者
本プロジェクトの支援期間:平成28年度

本プロジェクトの支援内容:
嶋田義仁が代表を務めるアフロ・ユーラシアの内陸乾燥文明の歴史生態人類学的研究によって蓄積された写真資料約8000点をデータベース化し、研究プロジェクト内で共有化することで、人類文明史において重要な役割を果たした、サハラ砂漠から、中東、中央アジア、モンゴル、旧満州に至る地域で成立した諸文明の遺産の比較研究の推進を支援するとともに、展示等を通じた成果の社会還元を実現した。