概要
国立民族学博物館のX-DiPLASプロジェクトでは、文化人類学などのフィールドサイエンティストによって撮影された写真のデジタルアーカイブ事業を進めています。このシンポジウムでは、写真データベースの活用方法の一つとして、デジタルストーリーテリングという、写真とナレーションにより構成される映像作品づくりを提案し、その可能性を検討していきます。
今回X-DiPLASは、中央アフリカのザイール(現コンゴ民主共和国)や東アフリカのタンザニアなどで、アフリカ的な農業や農村社会の特性、ひいては「人間にとって農業とは何か」という根源的な問いを長年にわたり追究してこられたフィールドワーカー・杉村和彦氏の写真データベースを例に、特に1986年~1991年にかけてザイールの焼畑農村で撮影された写真の整理を進めつつ、それらを素材としたデジタルストーリーの制作をすすめてきました。今年度いっぱいで定年退職を迎えられる杉村氏の、研究人生の一幕をふりかえる作品です。熱帯アフリカ焼畑農村の世界に思いを馳せつつ、こういった作品づくりが、研究者自身やソースコミュニティ、またあるいは私たちが生きる社会に何かを還元し得るのかを考えてみたいと思います。