National Museum of Ethnology, Osaka, Japan
ジョージ•ブラウン•コレクションのトップに戻る
/ English

Scan of first page of Brown's autobiography.

Scan of cover page of Brown's autobiography.

ジョージ・ブラウン自叙伝

George Brown, D.D. Pioneer-Missionary and Explorer

目 次

幼 少期 / 有 能な人格者/ 篤 い信仰心/ 学生の頃/ 危 険な仕事 / 海へ 1 / 海へ 2 / 海 へ 3 / 新 大陸への航海 / 第一歩 / 五 大湖 / 帰国 / 危 機一髪 / ニュージーランドへの航海 / オー クランド / 天職を求めて / 宣 教師としての適性 / ふさわしい伴侶 / 泥 まみれのハネムーン / 最悪の一夜 / 悲 劇の宣教師 / シドニーからサモアへ


幼少期

<---有能な人格者 父---篤い信仰心

 

 

父のたどった人生については次のような記録が残っている。 「彼はやがて、豊かな者からも貧しい者からも等しく信頼を寄せられるようになった。 おそらくこの ことは彼の生涯において最も重大な特筆事項であろう。 彼の正義感と親切心が尊敬を集めたというだけではない。彼は豊かな知識に加え、 様々なビジネスにおいて傑出した才覚を持つ人物としても知られていたのである。

先見の明と社会への対応力、高邁で真摯なキリスト教的精神、大義にかける情熱、 そして一旦引き受けた仕事は必ず最後までやり遂げる姿勢は徐々に万人の知るところとなった。 そしてごく温厚で控え目な人柄にもかかわらず、彼はその天賦の才により、いつしか、 町の産業、教育、倫理に関わる活動では必ず先頭に立つよ うになったのである。

彼はダーリントン・アンド・ストックトン・タイムズ新聞社を設立し、 初代編集者となった。職業訓練校の創設に携わり、数年間、幹事を務め、 サウスダラム・ランカシャー・ユニオン鉄道とエデンバレー鉄道の幹事や保健局の事務官としても活躍した。 晩年には、ミドルテンプルの弁護士の職に就き、途切れることのない依頼を次々とこなして、 ほどなく有能でたいへん公正な弁護士であるとの評判を得た。さらに、鉄道会社勤務時代にとくに興味を引かれ た経験を紹介した小冊子『鉄道会社の法』は、今も権威とされている。

彼の起床時間はとても早く、冬の朝にはいつも本を読んでいた。友人からは「読書中 毒」と評されており、 読んだ内容は決して忘れないようだった。夏の朝は、家 の外で過ごすことを好み、森の中で読書したり、 愛する自然や科学とのふれあいを楽しんだりしていた。彼は、多くのものに対する造詣を隅々まで深め、 地域一 帯の植物と地質に精通するようになった。地域の「野生植物」について講義を行ったこともある。 部屋を横切るように置かれた長机の上に採集した草花を並べ、 端から順番に、ひとつひとつを手に取りながら、 原稿もなしに解説した。余 すところのない知識と愛情があふれた話しぶりで、 植物の構造、各器官の機能、薬効などの特性を説明し、時には横道にそれて、その植物にちなむ詩や神話を紹介した。 彼は常に貧しい者のために心を砕き、生涯、彼らの生活環境を向上するため尽力した。

この地域で、彼ほど幅広く相談を持ちかけられた人間はいなかっ た。 どんな階級の人間も、彼の落ち着いた思慮深い判断に絶大な信頼を寄せていた。 また、彼ほどいつでも相談に応じてくれる人間もおらず、たとえ個人的に都 合がとても悪い時でも、しばしば相談にのっていた。


幼少期/ 父―有能な人格者/ 父―篤い信仰心/ 学生の頃/ 危険な仕事 / 海へ 1 / 海へ 2 / 海へ 3 / 新大陸への航海 / 第一歩 / 五大湖/ 帰国 / 危機一髪 / ニュージーランドへの航海 / オークランド / 天職を求めて / 宣教師としての適性 / ふさわしい伴侶 / 泥まみれのハネムーン / 最悪の一夜 / 悲劇の宣教師 / シドニーからサモアへ / 謝辞とリンク