National Museum of Ethnology, Osaka, Japan
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Scan of first page of Brown's autobiography.
Scan of cover page of Brown's autobiography.

ジョージ・ブラウン自叙伝

George Brown, D.D. Pioneer-Missionary and Explorer

目次

幼少期 / 父―有能な人格者/ 父―篤い信仰心/ 学生の頃/ 危険な仕事 / 海へ 1 / 海へ 2 / 海へ 3 / 新大陸への航海 / 第一歩 / 五大湖 / 帰国 / 危機一髪 / ニュージーランドへの航海 / オークランド / 天職を求めて / 宣教師としての適性 / ふさわしい伴侶 / 泥まみれのハネムーン / 最悪の一夜 / 悲劇の宣教師 / シドニーからサモアへ


五大湖< 帰国 >危機一髪

 実際、私はこの仕事を立派にこなしていたと思う。ある男性からは、一緒に仕事をし ないかと強く誘われ、12カ月続ければ、ミシガン湖の発展中の町ゴードリッチで、事業を興させてやると約束してくれた。しかし、私は英国への思いが強くな り、ついに帰国することを決心した。この時の帰国したいという気持ちを具体的に説明することはできない。しかし、神の意思により伝道の地へ赴くようになっ てからも、このようなことは何度もあった。すべての人の人生は神が決めたもうたものだ、というブッシュネルの言葉の正しさを、私はよく実感する。神が私を カナダから連れ戻し、崇高な目的を実行させようとしていたのだと確かに思う。
  帰国は、たいへんな道のりとなった。ケベックに到着した私は、人手が足りておらず、乗組員の見つからない船がたくさんあることを知った。そこで、私は乗客 としてではなく、水夫として帰国するほうが賢いと考え、グロスターの帆船オリーブ号に平水夫として乗り込むことになった。この船を選んだのは、港のどの船 よりも航海期間が長く、賃金が良かったからだ。航海期間が長ければ長いほど、受け取る額も増えるのだ。しかし、乗組員は誰もがその点で期待を裏切られるこ とになってしまった。大西洋を航行中、船は西からの強風に煽られ続けたのである。甲板には多数の貨物が積まれており、しかも強風に飛ばされてあちこちに移 動した。また、船には大量の水が積まれていたので、私たちはポンプの監視ばかりやらされた。乗組員たちは、これまで航海した仲間の中で一番の荒くれ者ばか りだった。ニューヨークからケベックまでやって来た乗組員は「運搬屋」と呼ばれており、ただ船を受け取り、国まで戻すためだけに雇われていた。船首楼で衣 装箱を持っていたのは私だけで、他の者たちは自分の布袋に服を詰め込んでいた。船長は武器を携帯しており、毎晩、部屋の扉をしっかりと閉めていたと思う。 ある夜、明日の朝早くには陸が見えるだろうという船長の言葉に、私たちは大喜びした。その朝の見張り番は私だった。8個の鐘(午前4時)で交代するとき、 私は次の当番に、陸地をしっかりと見張っておくようにという指示を伝えたが、彼はとても眠そうだった。私は彼を目覚めさせようと頑張ったが、相手はいつも 役に立たない、不注意な男だった。私は寝床に戻り、着替えもせずに横になったが、落ち着かず、5年前に別れた家族や友達のことが忙しく心に浮かんだ。1時 間ほど経った頃、甲板から大きな音が聞こえ、全員に集合がかかった。


幼少期 / 父―有能な人格者/ 父―篤い信仰心/ 学生の頃/ 危険な仕事 / 海へ 1 / 海へ 2 / 海へ 3 / 新大陸への航海 / 第一歩 / 五大湖 / 帰国 / 危機一髪 / ニュージーランドへの航海 / オークランド / 天職を求めて / 宣教師としての適性 / ふさわしい伴侶 / 泥まみれのハネムーン / 最悪の一夜 / 悲劇の宣教師 / シドニーからサモアへ /
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