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「彼の美しく、飾らない私生活を知っている者は、彼のことをもっと慕っていた。彼 は、高い信仰心と深い敬虔の念を備えた人物だった。こうした信心深い生活こそが、彼の性格を形成する一番の特徴だと言える。それにもかかわらず私が彼の仕 事や市民としての側面について長々と述べてきたのは、信仰心というものは、勇敢で、有能で全方位的に活躍できる人間の美徳や力に結実してこそ、最も気高い ものとなるからである。若いときから、彼にはそれが顕著だった。メソジスト教徒となり、聖書と祈りに込められた敬虔と愛を強調するメソジスト教会で学んだ ことが、一生涯、彼の性格に影響を及ぼした。神と摂理、キリストとその御業、神の王国への期待や予兆といった崇高な話題について語るときほど、彼が幸せそ うにしていることはなかった。彼と多くの時間を過ごした者はこう話している。『こうした時、彼の表情全体は光り輝き、その言葉はいつになく活気を帯びた。 その唇からは賢人、預言者、詩人の言葉が次々と飛び出し、彼自身の真摯で感動的な言葉と混じり合った。』
『聖書』に対する尊敬の念は 年々高まり、彼自身が、幸せな時間をたくさん過ごすことができたのは聖書のおかげであり、また辛い試練の中でも支えとなったと、よく語っていた。しかし晩 年になって彼が一番愛していたのは、イエスの人柄について語ることだった。説教だけでなく、日常会話の中でも、その素晴らしい生涯や力について倦むことな く話していた。小さなチャペルで行われる彼の礼拝には、偉大な信仰心と厳かな精神があふれており、出席した人々に忘れがたい印象を残した。」
以上は、多くの説教を集めた「信徒説教者の言葉」第2版(現在絶版)の冒 頭に書かれている回顧録から抜粋したものである。J・J・テイラー牧師(文学士)が初版の序文を、ブルック・ハーフォード牧師(現在ボストン在住)が回顧 録を、ジェームズ・ヘイウッド氏(文学修士、英国王立協会会員)が第2版の序文を書いている。
私が覚えている限り、父は、故ドクター・マーティノー牧師と同様に、自分が一般的に考えられ ている意味でのユニテリアンだとは思っていなかった。父の考え方は、チャニングとマーティノーの 著作に最も崇高な形で表現されているが、出版されている説教集の中には、こうした考えはほとんど見ることができない。この説教集は、すべてとは言えないま でも、その大半が、今日メソジストの説教で使われている。私は故郷で、「ブラウン記念教会」と呼ばれている教会が、父が無償で人生最良の時をささげた人々 によって建てられたことを知った。私は朝に自分のメソジスト教会で説教を行ったが、出席者の多くは、私が夜にこの記念教会で行った礼拝にも参加してくれ た。