National Museum of Ethnology, Osaka, Japan
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Scan of first page of Brown's autobiography.
Scan of cover page of Brown's autobiography.

ジョージ・ブラウン自叙伝

George Brown, D.D. Pioneer-Missionary and Explorer

目次

幼少期 / 父―有能な人格者/ 父―篤い信仰心/ 学生の頃/ 危険な仕事 / 海へ 1 / 海へ 2 / 海へ 3 / 新大陸への航海 / 第一歩 / 五大湖 / 帰国 / 危機一髪 / ニュージーランドへの航海 / オークランド / 天職を求めて / 宣教師としての適性 / ふさわしい伴侶 / 泥まみれのハネムーン / 最悪の一夜 / 悲劇の宣教師 / シドニーからサモアへ


海へ 1海へ 2 海へ 3

 次に私が乗り組んだのは、アルゴア湾に向かう立派なバーク船アリス号だった。今度は料理人としてではない。料理人の仕事は、もっと適任の他の人間に譲っ た のである。契約を結ぶ直前、私がシティから戻ると、1人の少年からカードを手渡された。「港でお前を探している人間がいる。明日の朝自分の所に来ないと、 警察に追われることになると話していた」と言う。カードはブルームズベリー・スクエアの弁護士、E氏とK氏からだった。父のロンドンの代理人が私の居場所 をついに見つけたのだ。翌日、私は事務所に向かい、中に通された。しかし、E氏の手がふさがっていたので、しばらく待つことになった。事務員の1人が机か ら身を乗り出して、バーナードカッスルのブラウン氏の息子かと尋ねてきた。本人だということが分かると、この事務員は同僚とともに、私をからかって楽しみ 始めた。私は、自分は牢屋に放り込まれるものだと信じていた。だから、その前に与えられる処罰にも耐えなければならないと思っていた。事務員たちは思惑通 り、私を怒らせることに成功した。彼らは仕切りによって事務室と隔てられた安全な場所にいる。私は彼らの仕打ちに必死に抗議し、ひとりずつ事務所から出て こいと呼びかけ、私の怒りをもっと強く分からせてやろうとした。しかし、扉が開くと同時に、事務員たちはさっと静まり、熱心に仕事をしているそぶりをみせ た。E氏は私に家へ戻りなさいと言った。しかし、私は、家に帰っても意味はないこと、航海に出ると決めたこと、これが私にとってこれが一番良く、一番父に 迷惑をかけない道であることを伝えた。結局、私はきちんとした服を買うための現金を少し受け取ることとなった。父も旅に出ることを仕方なく承諾してくれた のだ。1日か2日後、私の元にサンダーランドに住むおじから手紙が届いた。そこには、もし旅に出るのであれば、自分の友人が指揮する船を紹介すると書かれ ていた。数週間後、私はL船長率いる大型の東インド貿易船サンティポア号に乗って、真冬のロンドンを出発した。サンティポア号は英国政府の軍用輸送船だっ た。


幼少期 / 父―有能な人格者/ 父―篤い信仰心/ 学生の頃/ 危険な仕事 / 海へ 1 / 海へ 2 / 海へ 3 / 新大陸への航海 / 第一歩 / 五大湖 / 帰国 / 危機一髪 / ニュージーランドへの航海 / オークランド / 天職を求めて / 宣教師としての適性 / ふさわしい伴侶 / 泥まみれのハネムーン / 最悪の一夜 / 悲劇の宣教師 / シドニーからサモアへ /
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