National Museum of Ethnology, Osaka, Japan
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Scan of first page of Brown's autobiography.
Scan of cover page of Brown's autobiography.

ジョージ・ブラウン自叙伝

George Brown, D.D. Pioneer-Missionary and Explorer

目次



幼少期
/ 父―有能な人格者/ 父―篤い信仰心/ 学生の頃/ 危険な仕事 / 海へ 1 / 海へ 2 / 海へ 3 / 新大陸への航海 / 第一歩 / 五大湖 / 帰国 / 危機一髪 / ニュージーランドへの航海 / オークランド / 天職を求めて / 宣教師としての適性 / ふさわしい伴侶 / 泥まみれのハネムーン / 最悪の一夜 / 悲劇の宣教師 / シドニーからサモアへ

宣教師としての適性 < ふさわしい伴侶
> 泥 まみれのハネムーン

Sarah Lydia Brown nee Wallis (c.1860)
ジョージ・ブラウンとリディア・ブラウン(旧姓ウォリス)
1860年9月 シドニーのクラウン・スタジオで撮影
画像提供: Nancy Joyce and Margaret Reeson
James Wallis
ジェイムズ・ウォリス
画像提供:Raglan and District Museum

 オークランドで任命の知らせを受け取るとすぐに、私 は仕事に必要な準備を始め た。中でも一番大切なことは、この崇高な使命を私と分かち合ってくれる伴侶を得ることであった。このため私はワインガロアの伝道所を訪れることになった。 ここには、私が長い間、伴侶に迎えたいと考えていた若い女性が暮らしていたからだ。当時、この地区には鉄道や乗合馬車は走っておらず、目的地まで到着する には、5日から6日間もかけて西海岸を旅する必要があった。もちろん、辿り着けるかどうかさえ多少危ぶまれた。最後の日には、私はポニーに乗ってできる限 り前に突き進み、日没からしばらく経った頃、ワインガロア湾の岸に到着した。ところが、私を乗せてくれる船はなく、また明らかに泳いで行ける距離ではな かったため、伝道所は見えているのに砂浜で野宿しなくてはならなかった。食料は何もなく、可哀想に、私を乗せてきたポニーまで空腹に耐えることとなった。 やがておいしい食べ物がやってきたことに気づいた蚊が集まってきたので、奴らを満腹にさせないために、私は手で砂に深い穴を掘って鞍を置き、中に横たわっ て、頭を除いた体全体を砂で覆った。ポニーは気の毒なことに、砂浜から生えている硬い低木を食べながら辛抱強くずっと立っていた。やっと長い夜が明け、早 い日の出とともに、私は現地人のカヌーを捕まえて、やっと伝道所に到着した。ここで私は幸運にも、伴侶を得るというこの旅の重要な目的を果たすことができ た。そこで、一旦オークランドへ帰るための準備をし、数週間後にはここに戻って来て結婚式をあげることにした。しかし、まさに出発しようとしていたそのと きに、教区長のT・バドル牧師からの知らせを伝えに現地人がやってきた。それは、私がシドニーに行く日付の連絡だったが、予測していたよりかなり早い日程 だった。どう見てもオークランドに戻る余裕は無い。そこで結婚に向けた準備を今すぐに始めることにした。  

  未開の辺鄙な森の中に住む 行政官から苦労して許可書をもらった顛末や、同じく結婚を予定している男性が自分の未来の妻のために準備した指輪を譲ってもらおうとした一件など、面白い 話はあるのだが、ここでは特にお話しする必要はないだろう。ともかく、1860年8月2日、私は、ワインガロアの経験豊かな宣教師であるジェイムズ・ウォ リス牧師の次女、S・L・ウォリスと結婚した。この時、「妻を得るものは恵みを得る。主に喜び迎えられる」という言葉が現実のものとなったのである。

 

幼少期 / 父―有能な人格者/ 父―篤い信仰心/ 学生の頃/ 危険な仕事 / 海へ 1 / 海へ 2 / 海へ 3 / 新大陸への航海 / 第一歩 / 五大湖 / 帰国 / 危機一髪 / ニュージーランドへの航海 / オークランド / 天職を求めて / 宣教師としての適性 / ふさわしい伴侶 / 泥まみれのハネムーン / 最悪の一夜 / 悲劇の宣教師 / シドニーからサモアへ /
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